創作の小部屋第7回「幸せの原点とは?」
2018年06月03日
創作の小部屋第7回「幸せの原点とは?」
本日の創作の小部屋は、「しあわせの原点とは」というテーマです。私達は、いつも何かに不満を持っていて、幸せだと心から思えることがありません。どうしてなのでしょうか?
この辺にスポットを当てて、小話を創ってみました。第7回と第8回に2編づつ分けてアップいたします。
①小さな家に住む主婦と豪邸に住む主婦
その① 小さな家の主婦A子さんのこころ
主婦A子さんは、羨ましくてならないことが1つだけあります。小さな家ですが、主人は良く家事を手伝ってくれるし、二人の子どもも素直で成績も悪くありません。いつも笑顔の絶えない自慢の家族で幸せだと思っています。
でも何が羨ましいかというと、半年前に新築した真向かいの家が、あまりにも豪華なのです。良く映画に出て来るような洒落た家なのです。A子さんは、無意識に嫉妬をし、その家の主婦B子さんとは引越しの挨拶にみえた時から一言も話をしていません。朝、会っても会釈をするだけです。
わが家が小さいのは、ご主人の働きが悪いためと嘆き、最近はご主人が疎ましくさえ感じられてきました。以前は考えたこともないことでしたが、A子さんは不満が高じていき、家庭内の笑い声もいつしか少なくなりました。
その② 大きな家の主婦B子さんのこころ
B子さんは、この家を建てたことを後悔しています。夫婦で、一生に一度のことだからと大分無理をしたため、ローンに追われパートを始めました。慣れない仕事に毎日疲れ、また幼いこどもの鍵っ子を心配したご主人の両親とも同居をしました。義母とは、料理のこと子育てのこと、意見が合わずパートの帰りはいつも憂鬱で、以前の気兼ねないアパート生活に戻りたくてたまりません。ご主人は、家計のため残業を遅くまでしています。
真向かいのA子さんと仲良くし、愚痴を聞いて貰いたいのですが、A子さんには嫌われているようで毎日寂しくてなりません。
②子どものいない主婦と子沢山の主婦
その① 子どものいないA子さんのこころ
A子さんは、結婚して13年になりますが、子どもがいません。随分前から、義母は「早く孫の顔を見せて欲しい」と来るたびに話をします。もちろんA子さんも子どもが欲しくてたまりません。小学生のころから保育士に憧れていたくらいです。出来ることなら何人でも生みたいと思っています。
ただA子さんも正社員で働いており、銀行員の夫と共稼ぎですから、それなりの収入はあります。夫婦とも高級車に乗り、海外旅行にも毎年数回は出かけます。預金も数千万円を超えました。でも、幸せだと感じたことはありません。
高級車よりも海外旅行よりも、預金通帳の額よりも、貧しくても子どものいる家庭が羨ましくてたまりません。
その② 子だくさんのB子さんのこころ
B子さんには、子どもが3人います。長男は大学受験に失敗してからは、大阪に住み26歳を過ぎてもフリーターをしています。19歳の次男は、高校2年の秋から暴走族に入り、小遣いに不自由したときに帰ってくるだけです。三男は、高校三年生で毎日ちゃんと通学しています。
ご主人は、小さな会社の課長さんをしており、定年まであと数年です。蓄えも僅かしかなく、三男が進学した場合の学費と私たちの老後の生活が心配です。でもそれ以上に、これから子どもたちが一人前になってくれるのか、それが大きな心配事です。
最近思うことは、子どもを産んで良かったのか?私には、子どもを育てる資格が無かったのではないか?枕を濡らすことが最近多くなったB子さんです。