課題テーマに挑戦
2015年06月22日
「笛吹川」その(13)
前回の「課題テーマに挑戦」から、随分と時間が経ってしまいました。作詞で、今回のように行き詰ってしまったのは初めてです。
「哀愁の笛吹川」の歌詞3番の3行目の「時はあの夜で 止まったままの」の部分です。わたし原科香月は、この作詞教室で、歌詞1番から3番までの各行の文字数(字脚)を合わせなければならないと申してきました。・・止まったままの・・は7文字です。6文字でなければわたしの主張は誤りということになります。
歌詞1番からの流れや雰囲気を変えずに、・・止まったままの・・を別なことばに変えるという作業はとても辛いものがありました。繰り返しますが、歌詞1番3行目のごんざぶろう(権三郎)は6文字ことばで、6文字ことばは非常に少ないのです。まして、流れを変えないとなるとことばは限られます。
苦し紛れに考えたことばがあります。
3番 思い重ねた 釜無川と
末は夫婦の富士川に
雲よこの胸 届けてくれ
笛吹川で 一人で待つと
ふいに落とした 情けのしずく
ああ 哀愁の笛吹川よ
このように文字数(字脚)を合わせましたが、雰囲気が合いません。「届けてくれ」の「くれ」が何とも不自然です。どうしても良いことばが浮かんでこないのです。あとの方法としては、3番の歌詞を全部入れ替えるという手もあります。しかしながら、3番の「止まったままの」の一文字以外は、わたしはどうしても変えたくないのです。笛吹川が釜無川と合流することで、夫婦(めおと)になると比喩し、歌詞の主人公は好きで別れた人とは逢えないばかりか、どこにいるのかさえも分からないという悲しい表現を、起承転結の「結」にしたかったのです。
作曲及び編曲をお願いする予定の「筧哲郎先生」に、恥ずかしいことと知りつつ、相談させて頂きました。筧先生は「文字数(字脚)は、どうしても合わなければならないものと、作曲でカバー出来るものと両方がある」と申され、今回の哀愁の笛吹川の「止まったままの」の部分は、作曲でカバー出来ると仰って頂きました。
わたしは、作詞教室をホームページで公開していて、今回のような事態をとても恥じております。筧先生は、「作詞も作曲もこれで良いというものはなく、とても難しいものなのでだから、作詞教室でも、ありのままを伝えることが本当の作詞教室なのでは?」と励ましてくださいました。それで、初めの・・止まったままの・・でお願いすることに決めました。
再度、「哀愁の笛吹川」の歌詞をアップさせていただきます。
哀愁の笛吹川 作詞 原科香月
1番 酔って月夜の この境内に
むかし逢瀬の長慶寺
母はいずこか権三郎
愛しき女(ひと)は いずこの空か
未練心を なぜ捨てきれぬ
ああ 哀愁の笛吹川よ
2番 水面染めたる 桃源郷に
肩を寄せ合う影ひとつ
永久の誓いと花一輪
はにかむ君も 桃花となりて
ひとり佇み あの日を偲ぶ
ああ 哀愁の笛吹川よ
3番 想い重ねた 釜無川と
末は夫婦の富士川に
時はあの夜で止まったままの
君への愛は 叶わぬ夢か
ふいに落とした 情けのしずく
ああ 哀愁の笛吹川よ
長くなりました。筧先生にお願いした作曲・編曲が完成しカラオケとなりましたら、ユーチューブにアップし皆さんにも聴いて頂きたいと考えております。
尚、次回の「課題テーマに挑戦」は、「哀愁の笛吹川」の作詞過程を振り返り反省等を述べさせて頂いてから、ご報告させて頂きたいと思います。「哀愁の笛吹川」の情報集めからここまでお付き合いいただいたみなさんに、心からの感謝を申し上げます。
最後に、冒頭の画像はmisaki-05さんの「紫陽花」です。とても綺麗です。画像をクリックし拡大の上ご覧ください。