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創作の小部屋「独居老人のひとり言」第5回

2019年03月30日

 「独居老人のひとり言」第5回

つくばでも桜が咲き始めました。昨日は2~3分咲きでしたが、とても風が冷たく蕾も開花を少し見合わせたことでしょう。

早速「独居老人のひとり言」の第5回目に入りたいと思います。

  「独居老人のひとり言」第5回

第4章 パソコン仲間の気になる女性

妻が亡くなり、早や2年が過ぎた。私は62歳の誕生日を迎えようとしていたが、相変わらず、私はパソコン仲間と公民館での勉強会を続けていた。私のパソコンの腕も上がり、今ではブログも開設している。自分でも信じられない程の進歩である。このことでは、息子夫婦・同級生の橋本、そしてパソコンの勉強会の仲間に心から感謝している。

私は毎日、朝と晩に妻の仏壇に手を合わる。夜は作ったばかりのおかずを供えながら、その日の出来事やパソコンの上達ぶりを報告した。

私のブログ名は、「独居老人のひとり言」である。もちろん、ブログ開設時には同級生の橋本の力を借りた。そして、始めた当時は、文章を見て貰ったり画像の挿入の方法を教わったりした。しかし、今はそのお蔭で何でも自分でできる。

ブログの主な内容は、季節の移り変わりをデジカメで撮り、それにコメントを加えたものである。最近は、けっこうブログ仲間が増えて来て、返信を出すのが一苦労という状態だ。少しは疲れるけれど、充実した時間でもある。

パソコン仲間も人数が増えて、約10人前後の人が勉強会に訪れるようになった。仲間の紹介であれば誰でも参加できるのである。当初は、僅か3人でスタートした勉強会だったのだけれど。

女性も何人か含まれていた。いつも参加する女性は3名で、いずれも連れ合いを失くした高齢者ばかりだった。私もパソコンに精通するようになると、新しく入った初心者に何かと指導する機会が増えたのは当然だった。

初めからのメンバーで次回の勉強内容を決め、講師役を持ち回りで行った。なので、3回に1度は講師役となる。私が講師役の時に、正確には平成23年の5月半ば、新しく勉強会に入った女性がいた。50代後半の垢抜けた感じの、そして聡明そうな女性だった。正直に言えば、亡くなった妻に似ていると感じたのが第1印象で、私にはとても気になる女性となった。

しかし、私はいまだに妻を愛している。何年経とうが私の妻に対する愛が色あせることは無い。私には、自信がある。例え十三回忌を迎えようが、妻への愛はこのまま変わることはない。

ある日、妻に似たその女性が参加したパソコンの勉強会の時、私が他の初心者の女性に対する態度とは異なり、接する頻度が多いように自分で気付いた時には、少なからずショックを受けた。

この女性は仕事を持っているらしく、いつも参加する訳ではなかった。職場の仲間が急に用事が出来たときなど、代わり出勤することも度々あるらしい。女性同士で話しているのを何気なく聞いた私の心に、小さな波風が立っていた。

妻の仏壇の前で、必ずその日の出来事や思ったことを話しかけるのが私の日課だったが、最近の私は妻にすべて心の内を読まれているかのような気がし、両手を合わせている時間が確かに短くなった。私に、何の負い目があるというのだろうか?                 つづく                               

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