創作の小部屋「独居老人のひとり言」第18回
2019年04月23日
「独居老人のひとり言」第18回
私の住むつくばは、もう直ぐ田植えの時期を迎えます。田植えが済んだ頃、筑波山をバックにした画像をアップしたいと思います。この時期に咲く花に、「藤」がありますが、私はこの花が大好きです。この画像は春日大社の「藤の花」です。
さっそく「独居老人のひとり言」に入らせていただきます。
「独居老人のひとり言」第18回
第17章 「なのはな会」発足
次週のパソコン勉強会で話し合う「料理勉強会の運営」について私は考えた。
パソコンの勉強会の場合、ノートパソコンだけを各自用意すればよい。後は、講師役が資料を人数分だけコピーするだけで事足りる。
しかし、料理勉強会はそうはいかない。料理の食材の買い出しは、約10人分ともなれば大変な量だ。誰が買い出しをするのか、また肉や魚などの生物は、外気の温度によっては鮮度が落ちる。クーラーボックスも必要になるし、保冷材の管理も必要だ。
まあ、問題はたくさん出てくるだろうが、愚痴からは何も生まれない。一つひとつ解決しながら進める以外にない。翌週の話し合いに向けて、私はA4サイズの用紙に、「料理勉強会発足にあたって」との題名で、決めなければならないこと、相談しなければならないこと等思い付いたことを列挙した。
① 会の名称を決めること
② 会長(責任者)を決めること
③ 講師役について
④ 勉強会の回数について
⑤ 勉強会の開催時間について
⑥ 出欠の有無について
⑦ 買い出しについて
⑧ 食材などの費用の支払いについて
⑨ 講師役の人からの費用徴収について
⑩ クーラーボックス及び保冷材の購入について
⑪ その他(何でもどうぞ!)
当日、パソコンの勉強会の時間を少し切り上げて、3時30分から「料理勉強会」についての話し合いを行った。全員の了承のもと、私の用意したレジメに従って進めることになった。
会の名称について、私が発言した。
「この『高齢者のための季節の献立集』は千葉県と千葉市の方々が、高齢者のために作られた、とても心のこもった、素晴らしい献立集です。千葉県の県花は、なのはなです。作られた千葉県に敬意を表して、この会の名称を「なのはな会」としませんか?また、このメンバーだけでなく、皆さんの紹介があれば、どなたでも参加できるということにしてはいかがでしょうか?」
とても良い名前だと、数人の人から称賛の声が上がり、私たちの『高齢者のための季節の献立集』勉強会の名称が「なのはな会」に決まった。
会長の選任は、大川さんからの推薦があり、また全員の拍手で私と決まった。私はこの仲間から必要とされているのが嬉しかった。
つづいての講師役の件については、大川さんから発言があった。
「先週、私出過ぎたことを申しましてすみません。もし私で宜しかったら、講師役と言うより、お世話係をさせて頂きたいと思います。私、一応調理師の免許を持っています。でも、昔高校を卒業してから調理師学校を出ただけで、経験はありません。
それから、私仕事がありますので、毎回参加できるか分かりませんので、定年前に病院で管理栄養士をしていた、知人の加藤さんに先日直接相談をさせて頂きました。
そうしましたら、とても素晴らしいことなので、ぜひ仲間に入れて欲しいと加藤さんからお願いされました。皆さん、いかがでしょうか?私と加藤さんで、講師役とか堅苦しいことは抜きにして、おいしい料理を皆さんと一緒に作って行けるようお世話係ということでどうでしょうか?」
大きな拍手に「どうぞよろしくお願いします。」と、大川さんは立ち上がって深くお辞儀をした。
つづいての議題に入った。勉強会の回数についてだ。ここでも、私が口火を切った。
「前回、大川さんから、週一という話がありましたが、私は少し負担が大きすぎるような気がしています。毎週パソコン教室もありますし、各自それぞれ用事もあることでしょうから、どうでしょう?2週間に一度ということでは?」
私は、無理に押し切るつもりは更々ない。後から議題で出てくる「買い出し」このことが一番心配だったからだ。大川さんが、再度立ち上がって発言した。
「前回、私良く考えもせず、週一なら上達が早いなどと生意気なことを申しましたが、週一のペースは会長の言う通り、皆さんの負担が大きすぎると思います。初めから、無理なスケジュールを組むより、余裕のある、次回の勉強会が待遠しいと思えるくらいがちょうどよいと思います。ですので、私も、会長の意見に賛成です。」
それ以降も順調に議事は進んだ。しかし、⑦の買い出しが問題だった。 つづく