創作の小部屋「独居老人のひとり言」第19回
2019年04月26日
「独居老人のひとり言」第19回
桜も散り、新緑がとても爽やかで美しい季節となりました。私の住むつくばでは、もう直ぐ田植えが始まります。昔、田植えというと小学生の私でさえも手伝いをさせられました。苗を入れた籠を背負って田んぼに入り、田植えをしている人の傍に苗を運ぶ仕事です。昔は、親戚の人と助け合いながらの田植えでした。
今はどうでしょう?上の画像のように広い田んぼでも、トラクターがあっという間に代かきを終わらせてしまいます。代かきとは、田を耕した後に水を引き、平らに均して田植えが出来る状態にすることを言います。トラクターの威力は見事で、人間の何十倍もの仕事をしてしまいます。ですが、殆ど1,000万円以上もする高額の物です。機械化は素晴らしいのですが、この購入費用を捻出するための利益を得ることは大変なことです。
今、農家は高齢化が進み、耕作放棄地が増加しています。稲作も含め、農業はこのように莫大な経費が掛かかるため、農業法人に貸してしまう人が急増しています。時代は、農業を大きく変えました。
「独居老人のひとり言」第19回
第18章 食材の買い出しの問題
勉強会のメニューは、『高齢者のための季節の献立集』の予定に合わせれば何も迷うことはない。例えば、4月20日に勉強会をするとしたら、「春の献立集(第3週)20日」を見れば良い。
朝食 ごはん キャベツと卵の炒め物 小松菜のごま和え
昼食 のり巻き・納豆巻き(市販) けんちん汁 果物
夕飯 ごはん すき焼き風煮 長芋の梅和え
ただ、朝昼夜のどれを選ぶかだが、基本的には夕食が当然良いと思う。なぜなら、日本人は夕食を3食の中で最も重視しているからだ。
理想の食事摂取カロリーの割合は、朝:昼:夕=3:4:3とされているそうだが、日本人でどの位の人がこの割合での食事をしているだろうか。私が現役の頃、車の中でお握りを食べながら出勤するという同僚がいた。ある独身者は、朝飯を食べる時間があるなら、寝ている方がましだと言った。日本人は、朝食を大切に考えている人が少ないと思う。
買い出しの議題になると、急に騒がしくなった。
○具体的なレシピがない料理では、何の食材を買えば良いのか分からない。
○どの位の量を買えば良いのか分からない。
○膝や腰が悪く重いものが持てない。
○スーパーに食材がなかった場合どうするのか?
他にも色々意見はあったが、主なものは以上だ。この問題については、私も大川さんも良い解決法は直ぐには浮かばなかった。ふいに大川さんが、立ち上がって言った。
「確かに、この献立表にレシピが載っていない料理があります。私も、何の食材をどれくらい用意すればよいのか正直分かりません。この解決法は、勉強会の前に、一度試作をすることが一番良い方法だと思います。
一度試作をすれば、何が必要か、どの位の量が必要かなど分かります。また、勉強会をより効率的に進めることにもなります。ですので、私よりも献立に詳しい管理栄養士だった加藤さんに相談したいと思います。次回までには、ご報告できるように致します。
また、膝や腰が痛くて重い物が持てないという方がいらっしゃいましたが、一人での買い出しでなく複数の方での買い出しにすれば解決できると思います。集合場所と時間を決めておけば良いと思います。また、必要な食材がなかった場合は、私か加藤さんにご連絡をくだされば、ご返事できるようにしたいと思います。」
大川さんが、一人で解決してしまった。すごい人だなと感心してしまった。
⑧の食材などの費用の支払いの件についてだが、準備金として一人2,000円を第1回勉強会前に徴収し、先ずそのお金でクーラーボックスを買うことにした。保冷材は、家に余っている人が数名いて寄付してくれるという。第一回目の勉強会の買い出しは、残りのお金で十分間に合う。その第1回目の買い出しは、私と大川さんが担当することになった。徴収したお金を私が受け取り、買い出し後に領収書とお釣りを「会計係」に渡すということになった。私は「会計係」が必要なことが、今になってやっとわかった。この役は講師役の大野さんが引き受けてくれることになり、収支報告は「なのはな会」で共有するブログで随時大野さんが更新してくれることになった。尚、当日の費用は人数分での割り勘にすることで決定した。
⑨の講師役の人からの費用徴収についてだが、当日の分は講師役の人からも負担して貰うことにした。ただ、試作用の食材等については1回毎に500円の補助金を会から支払うこととした。なので、当日の負担金にはこの500円も含まれる。試作は、多分大川さんと元管理栄養士の加藤さんがすることになるだろう。⑩のクーラーボックス及び保冷材の件は、複数の買い出し担当者を勉強会終了後に決め、その担当者が管理することに決まった。
予定より少し時間は伸びたが、話し合いは順調に進んで終わった。 つづく