課題テーマに挑戦「鳥海山」第13回
2017年09月28日
課題テーマに挑戦「鳥海山」第13回
現在このブログで、「鳥海山物語」を画像を参考にしながら書いていますが、正直一度訪問したいという気持ちです。画像ではない本物の鳥海山を見たいと思います。また舞台である秋田県由利本荘市を訪れ、御嶽(みたけ)神社も参拝したくなりました。
あまり寒くならないうちに車で出かけようかなと、この「鳥海山物語」を書きながら最近強く思うようになりました。
鳥海山物語
第2章(5回目) 昭和46年3月
(この母に嘘は通じない。母を信じることだ。それしかない。)
由美子は、これまでのことを隠さずに話しました。ただ、別れようとはしているが、それは母のためだとは言いませんでした。
母は、由美子の目を覗き込むように、じっと由美子の話を聞いていました。
「分かったよ。由美子、由美子が好きなら、私は反対しない。だが、一つだけ言っておく。総一郎さんと一緒になるのは、きっと無理だと思う。総一郎さんがお前を好きでも、でも総一郎さんは、佐々木家の長男だ。昔からの立派な家柄だ。お前とは釣り合わない。親や親せきの人たちが反対するだろう。その時、お前が泣くことがあっても、その覚悟があれば私は反対しない!」
母のふみ子の目にうっすらと光るものがありました。(由美子は、この私のために別れようとしている。)
3月に入って間もなく、いつもの同級生が総一郎の手紙を届けに来ました。
「由美ちゃん、どうしても逢いたい。逢って話がしたい。だから明後日の10時に御嶽神社の鳥居で待っています。」
いつものように、短い言葉で要点だけが書かれていました。
今度は、由美子も心を決めました。
(母が許してくれた以上、もう自分の気持ちに逆らう必要はない。自分のこの思いを天に任せて、真っ直ぐ歩いて行こう。たとえ、泣くことになろうとも!)
由美子のこころから、今までのような弱々しさはすっかり消えていました。
総一郎から指定された時間に間に合うように、由美子は家を出ました。今度は、母に総一郎と会うことを話してあったので、母は予め赤く可愛いリボンを買って来てくれて、由美子の髪に結んでくれました。母の気持ちが嬉しくて、朝から涙目の由美子でした。
約束の御嶽神社に由美子は着きました。 つづく