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課題テーマに挑戦「銚子港」第26回

2024年04月30日

 課題テーマに挑戦「銚子港」第26回

桜の花が散り、新緑の季節となりました。アイキャッチ画像は本日4月30日に撮ったものです。もうつくばでは田植えの準備が着々と進んでいます。

本日は、先日「国立科学博物館筑波実験植物園」にお伺いした時の画像の数々をご覧頂きたいと思います。生憎の曇り空で爽やかな青空ではありませんでした。

入場口の直ぐ先に大きな案内板がありました。

 

早速、園内を散策致しました。もう辺りはすっかり新緑です。

 

生まれたばかりの青紅葉、心まで若返るようです。

 

園内には沢山のツツジが咲き誇っていました。

 

この日はちょうど「さくら草」展が開催されておりました。

 

様々な美しいさくら草ばかりでした。

 

その品種ごとに名前が記されておりました。

 

最後のこのツツジの花だけは、別な日に自宅近くを散歩中に撮りました。

 

 

次の画像はダッチアイリスと「ハナノナ」が教えてくれました。

 

厳しい冬の寒さに耐えて、草花は春に一斉に萌え出します。私たちに活力を与えてくれます。

物語 想い出の銚子電鉄外川駅(あらすじ18話中 1話~6話まで)

(23年5月15日 第1話)

≪翔太は外川漁港の漁師の息子≫

遠い昔の哀しい思い出を、いくら歳月を重ねても忘れることが出来ない。そういう方もきっとおられるのでないかと思う。主人公宮内翔太もそういう過去を持つ30代前半の男だ。

都内大田区蒲田の叔父の不動産会社で働いている。

主人公の紹介をしておこうと思う。名前は宮内翔太。生まれは千葉県銚子市外川。生家は代々キンメダイ漁の漁師だ。

翔太は、幼いころから兄と一緒に父の漁船に乗せられ、父の背中を見て育った。将来は兄と一緒に父の跡を継いで漁師になると幼い頃から決めていた。

だが、翔太は翔太はキンメダイ漁をせずに、銚子から上京し蒲田の不動産会社で働いている。それには訳がある。

それは高校時代のガールフレンドの鈴木美咲が都内の大学に進学したことが、翔太を上京させた最大の理由だ。

表向きは世間を知るのが目的ということで、期限は3年だけと父と兄への約束をした。だが、諸々の事情からそれは10数年に伸びた。

筆者はその訳を、おいおいお話ししようと思う。

今、翔太を我が子のように可愛がってくれた叔父の不動産を退職しようとしている。

翔太の退職の願いに、叔父の社長はおびえるような、そして悲しそうな表情で必死に慰留した。

翔太は、その叔父の疲れた表情での声を聞きながら、ふと銚子電鉄沿線で美咲との楽しいデートの日々を思い出していた。 

 (23年5月29日 第2話)                                           

≪翔太が伴侶と決めた女性≫

美咲は、東京のある私立大学に現役で合格した。

早や高校の卒業式も間近くなったある日曜日、翔太と美咲は銚子電鉄観音駅前で待ち合わせた。

銚子電鉄は、全長6,4kmの短い単線だ。経営状況も人口減の影響か芳しくないようだ。だが乗客の数は少ないが、地域の人々にとっては何かの折には絶対欠かせない電車だ。特に病院通いの高齢者には無くてはならない。銚子電鉄は、「濡れせんべい」とかの副業もしながら、何とかこの路線を維持しようと必死だ。

先ず二人は太子堂のある円福寺かに寄り、それから五重塔のある飯沼観音へと向かった。朱色の塔が青空に届きそうであった。拝殿の前で二人は祈った。

ここで翔太は何を祈ったか?

漁師という仕事は、その日の天候に左右され、収入も安定していない。それに命の危険も伴う。また、女性と出会う機会が殆んどない。外川漁港の漁師も含めて、銚子漁港の漁師には、30ないし40代を過ぎた独身者が多い。結婚を半ば諦めている者も多い。翔太は、美咲と生涯を共に出来るようにと願ったのだ。

それから二人が向かったのは、銚子漁港第一卸売市場だった。飯沼観音からは、そう遠くない距離だ。この道すがら美咲は、将来の職業を教諭から養護教諭に変えた訳等を翔太に話した。叔母の養護教諭の影響が大きかったようだ。

銚子漁港第一卸売市場の近くの海鮮料理のお店に入った。丼からマグロやエビがはみ出しそうな海鮮丼を前に二人は満面の笑みになった。                                         

(2023年06月13日 第3話)

≪翔太 東京への憧れ≫

美咲が東京の大学に行くため上京するという前の日に、翔太と美咲は銚子電鉄君ヶ浜駅で待ち合わせてデートをした。「君ヶ浜 しおさい公園」まで歩いた。美しい海岸線だ。

美咲は新しい住居のことや大学のこと等を話した。美咲への愛を抑えられない翔太は、口づけをしようとするが「今は勉学に集中したい」と翔太の唇を手の平で覆った。

翔太は美咲の心が分からないまま寂しく分かれた。

美咲が東京の大学に行き、翔太は家業のキンメダイ漁に就いた。

キンメダイは「銚子つりきんめ」として千葉県のブランド水産物に認定されている。それは多くの先人の苦労と知恵と汗とによってもたらされたものだ。翔太も兄と共に千葉県自慢のキンメダイ漁の漁船に乗っている。だが、美咲への想いから、どうしてもキンメダイ漁に心から向き合えない。あれ程までに憧れたキンメダイ漁への自信が失われつつあった。

翔太は美咲のいる東京に行きたいと強く思うようになった。美咲の近くで生きていたかった。

「東京には叔父がいる。父の弟が不動産会社を経営している。私は、その不動産の会社で働きたいと思うようになった。美咲ちゃんがいる東京なら、美咲ちゃんにいつでも逢えるに違いない」

それから間もなくして私は父と兄に向かい、キンメダイ漁の漁師を暫くの間辞めたいと懇願した。

(2023年06月30日 第4話)

≪美咲 養護教諭への決意≫

東京の叔父の不動産会社で働かせて欲しいと言う翔太の言葉に、翔太の父と兄は苦虫を噛み潰したような表情だったが、3年後に銚子に戻り、生涯をキンメダイ漁の漁師として生きて行くという翔太の言葉に渋々納得した。

翔太はその3年間の間に、美咲との確固たる将来の約束を取り付ける覚悟だ。3年の歳月は十分な時間だと翔太は考えた。

翔太の父はあくる日、さっそく東京の弟に翔太を働かせて欲しいと頭を下げた。翔太の叔父は、兄の頼みは断れずに了承した。

翔太の父はこの時、3年間だけとは言わなかった。言えば、多分断られるだろうと危惧したからだ。

そんな時に美咲から分厚い封書が届いた。

初めての東京の暮らしやアパート生活のこと、大学での出来事などが書かれていた。だが、美咲が伝えたかったのは、真剣な自らの将来への熱意だった。

高校2年生までは、教諭になるつもりだった美咲。だが、中学校の養護教諭をしている叔母の、深く辛い悩みを聞いた美咲は、養護教諭になる決心をしたのだ。

養護教諭の「児童・生徒の命に深く関わる」その職業は、美咲はそれが自分の天職と信じたという。

(2023年7月14日 第5話)

≪A子の母親とその親戚≫

叔母の「児童・生徒の命に深く関わる」辛い悩みとは、以下のような具体的なものだった。

毎日のように保健室に来ていた女子生徒A子。そのA子が自殺未遂を起こしたのだ。校長の許可を得て叔母はA子の病室を見舞った。A子の側には母の姿はなく独りだった。

優しく話し掛ける叔母に、A子は心を開いて話をしてくれた。家族との生活が原因で摂食障害を引き起こしたようだった。

それから暫くの後、帰ろうとした叔母に「先生、帰らないで・・」と、目に涙を溢れさせてA子は言ったとのこと。

数日してA子の母親は診断書を持って職員室に来た。そしてこう言ったそうだ。

『校長先生、A子がこういう事件を起こしたのは、すべて学校の責任じゃないんですか!近く弁護士の先生と相談して、この中学校を訴えるつもりですから、そのおつもりでいて下さい!』

診断書には4週間の休養が必要とのこと。診断書を目にした校長は自己保身に走り、高橋教諭と叔母に責任を押し付けようとした。

ある日、A子本人とその母親、それから親戚の者という3人が校長室を訪れた。校長は、教頭先生、高橋先生、そして叔母を直ぐ呼び付けた。

それから両者は話し合いとなった。A子の母親と親戚の者は、学校側を一方的に激しく責めた。特に担任の教諭、それから叔母が非難の的となった。

ここから先は美咲の便箋が無くなり、また次回手紙で記すという。

(2023年7月31日 第6話)

≪養護教諭の職責と今後≫

それからまた美咲からの厚い封書が翔太に届いた。前回からの続きだった。

校長室で学校側を激しく責める、A子の母親と親戚の者達。特に、母親は顔を紅潮させて怒鳴るのでした。

『高橋先生、まだ学校側には何の落ち度もないというのなら、私は本気で怒りますよ。許しませんよ!』

それからもこの状態が続き、ついに堪り兼ねたA子がことばを発した。

「私・・高橋先生も渡辺先生も、嫌いじゃないし、悪くない!先生たちを悪く言わないで!」

職員室にいる全員が驚いた。

「私は、学校が嫌いなわけじゃない!先生が嫌いなわけじゃない。家に帰るのが嫌なの。休みの日も、家にいるのが嫌なの!」

こうして一件落着したものの、叔母は保健室に来たA子の気持ちを察してあげられなかったことを悔いた。A子の命を守れなかったかも知れないと、その職責の重さを痛感した。

全員が散会した後で、叔母はA子の肩を抱き保健室に向かった。抱きしめ涙を流しながら詫びたのだった。

叔母はその話をした後で、養護教諭の業務の多さと責任の重さを、決して大げさでなく私に丁寧に話してくれた。

最後に叔母は、こう言ってこの話を終わらせた。

「美咲ちゃん、養護教諭にも国際的な視野が必要よ。英会話くらいは当然出来ないと、外国人の子や帰国子女が保健室に来たときに困るわよ。私は、若いうちの海外留学を絶対勧めるわ!それから、もうひとつ、大山捨松と言う女性のことを調べてみて!」

 

≪あとがき≫ 私の技量の無さから第6話が長くなりました。物語「銚子電鉄外川駅」は、まだまだ長くなりそうです。作者自身も脈絡を忘れそうですので、今回を含め3回にわたり「あらすじ」を記したいと考えています。

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